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公益財団法人 介護労働安定センター山口支部
支部長の高森 昌彦 氏にお話を伺いました。

廣 瀬
公益財団法人として労働と厚生両方の立場から介護福祉事業を支える貴センターのこれからのビジョンをお聞かせ下さい。
高 森
介護労働安定センター山口支部では、公益財団法人として国の事業とセンター独自の事業、それぞれの事業を担っています。かつては介護労働者の確保定着を目的として国の事業のウエイトの方が大きかったですけれども、時代の流れの中で、今はそれだけでは運営していけないのでセンター独自のセミナーや啓発事業、これにも各専門分野の先生方にご協力頂いていますが、まずはセンター単独の安定運営を考えていかなければならないと思います。
これから先、介護人材が不足している現状の中、全国で介護人材が約38万人不足すると言われている2025年問題とかがクローズUPされていて、山口県もそうなんですけど、各自治体は「速攻性のある政策を」と言うけれど、実際には中々そうはうまくいかない。
ただ、介護職員の人材確保も重要であることに変わりはないけれど、それと並行して重要なことは、労働としての事業所をどう創っていくかということをしていかなければいけないと思いますね。
介護関係者は介護に対するイメージを〝悪い3K〟から〝良い3K〟に持っていこうと一生懸命努力していますが、中々実際難しいですよね。色んな機関から介護労働に関するアンケートを見ると良い結果も少なからず出ていますけど、じゃあ実際の現場はどうかと言うと中々そうとは言い難い現状もある。でも、職業としての業界の良さから視ると、介護の良さの一つは、いつでも誰でも気軽に入れる入り口があるということ。要はキャリアUPしようと思えばできる訳ですよね。年齢や性別、国籍すら問わずに入れる。当センターの介護実務者研修もそうなんですけど、何も知らない人が6カ月間の研修を受けて3年働いたら介護福祉士の受験資格が取れる。そういったチャンスがある業界なわけです。
ただ、そんな介護の現場で働く職員さんから「介護事業所って5年後、10年後どうなっているの? この先どうなるの?」って言う不安の声をよく聞きます。介護事業所は小規模の事業所も多いし非正規雇用の職員さんも多い。本当の意味で安定を求めるならば、安心して職員さんが長く働けるよう企業としてきちんと将来設計ができる事業所にしていかなければいけない。そのためには事業所が雇用管理改善にしっかり向き合っていくことが重要だし、支援していく必要があると思います。
廣 瀬
そうですよね。看護も同じことを言われていますが介護は人が結果を生んで初めて成り立つ仕事だから、ITやロボットなどの代替え性が効かないサービスと言われています。
でもそこが職業としての一番の魅力であり価値だと思いますね。けれどそれは企業としての継続性がないと安定してサービスを提供し続けることは難しい。業界そのものも、介護保険制度が始まって20年が過ぎたばかりということもあり、事業所の雇用管理に関する情報も十分行き届いているとは言えず、教育そのものに対してもまだまだ少なく未発達な部分も多いように見受けられます。
高 森
国も労働政策として事業所の雇用管理改善に力を入れてきていますから、センターとしては介護人材の雇用定着はもちろんですが、育成支援と共に企業として健全な運営ができるよう、そこを頑張って支援していかなければいけないと思っています。そのために、まずは国がどういう政策を示して、当センターがどういう役割を担ってどういうことが具体的にできるのかを頭に叩き込まなければいけない。そしてセンターの職員も、支援を必要としている事業所に対して職員が自立して支えていけるよう、自身の向上に務めなければならないと思っています。
体験者の声インタビュー01
廣 瀬
介護労働安定センターさんから視た介護の職場の現状はどのように感じますか?
国からは働き方改革の推進を言われたりしていますが。
高 森
山口県の介護に関する研修の参加人数って実は全国でもトップクラスなんですよ。他県からは「よくそんなに集まるね」って言われる位(笑)
高齢者が多いこともあって介護に関する関心そのものが高いのか、県民性でしょうかね。
廣 瀬
そうですね。現在、わが会社もおかげ様で多種多様なニーズの中で沢山の研修や講師、コンサルティング、サポーター等のお仕事をさせて頂いていますけれど、何処に伺っても本当にクライアントの皆さんは熱心で意欲的で。ご希望やご要望だけでなく、現場の様々な悩みや課題をいつも沢山頂いています。その中で、私達がどのような顧客ニーズや現場ニーズに応えることができるのかを考えた時、お引き受けさせて頂くこちらのモチベーションが気持ち的にもグッと高くなることを感じる瞬間も沢山あります(笑)。
高 森
山口県は長い歴史の中でそもそも学ぶ文化が定着しているのかも。率先して学習しようという環境が培われているように感じます。
山口県だけでなくこれから全国的に人口そのものが減っていく時代の中で、介護人材を今後増やしていくことは現実的に難しい。それでも人を増やすことが可能ならそれに越したことはないですが。大規模の法人様なら福利厚生や休暇等が取り易い等の条件が整っているのであれば、更なる雇用促進もできる部分は多いと思います。でも現実的には小規模の事業所も数多くありますから、特に開設して間もない事業所さんはサービス提供と事業運営が一生懸命で中々雇用管理や企業としての運営管理まで時間が取れていない状況も多々あります。もちろんそれも大事なことではあるんですけれども。そういった現状からトップやリーダーの方も企業としての運営管理に十分な時間が取れず、現在雇用している職員さんの雇用定着に対する努力が精一杯。そういった事業所がまだまだ多いのが現実です。でもその中で仕事のやりがいとか、介護の魅力発見などの人財育成支援も重要とは思うんですが、介護ロボットの導入やICTやIOT等の導入も、現場の負担を軽くすることに繋がるのであれば、やはりこれも何かの形で取り組んでいかなければいつまでも現場の負担は変わらない。これまで当センターでも介護労働分野の中で、様々な先進事例としてご支援させて頂いたりしていますけれども、実際にICTやIOTを導入した介護事業所さんは、導入して以降、職員さんの残業が減ったとの報告を頂いていますしね。国から言うことも、中々現実的には(現場に取り入れることが)難しいとか「絵に描いた餅」だと言われることもありますが、実際にそれをどのように現場に取り入れれば、現場の現状がより良い形になっていくことができるのか。今後展開していく上でまだまだ頑張っていかなければならないことだと思っています。
廣 瀬
介護人材不足の危機感から、メディアでも外国人労働者の介護労働者としての期待と課題がよくクローズアップされていますが、こちらもビジョンとしてはいかがでしょう?
高 森
国が示すビジョンを基に、既に民間事業所さんは色んな取り組みを始められている訳ですが、その中で現場の職員さんの受け入れに対する教育だけでなく、実際に介護を受ける利用者さんそのものの受け入れも現実的には考えなければならないと思います。更には外国から来た人を介護専門職として育てるためにはどのような支援が必要なのか、例えば言葉や生活、環境、文化の問題等、現場だけでなく雇用としての課題もまだまだ現実的には沢山あります。それについても国の方針を注視しながら、当センターとしてもできることは取り組んでいきたいと思っています。
廣 瀬
ありがとうございます。高森支部長さんからキャリアホープに期待することを一言お願いします(笑笑)
高 森
現場で悩んでいる事業所さんや、孤軍奮闘しているリーダーの方とお話していると、(キャリアホープに)入ってもらいたいな、コンサルテーションして欲しいなって思います。(同行する)当センターの職員も本当に勉強になりますし。いつも本当にありがとうございます。いつも沢山お願いしてすみません(笑)。今後も沢山お願いしますので、どうぞよろしくお願い致します。(笑笑)
体験者の声インタビュー01